00027 1989年08月08日 夕刊 1社 011 01263文字
育毛剤データねつ造のライオン小田原工場、業務停止20日間 厚生省
大手化学品メーカー「ライオン」(東京都墨田区、小林敦社長)による育毛剤「薬用ペンタデカン」の品質安定性試験データねつ造事件で、厚生省はこの製品を製造していた同社小田原工場(神奈川県小田原市)について、薬事法違反で9日から20日間の業務停止処分とすることを決め8日午前、同工場を管轄している神奈川県庁に小林社長を呼び、命令書を手渡した。
今回の調査によって、同社はこのデータねつ造のほか、催眠鎮静剤の有効成分試験を一部しないで出荷していたり、保存を義務づけられている医薬部外品の臨床データを廃棄していたりなどの違反行為も明らかになった。同省は工場の業務停止と併せて同社に対し、薬事法の規定を守るための社内管理の確立を急ぐよう求める異例の指示を行った。
今回の違反は、ことし5月に厚生省に届いた告発文書によって明らかになった。薬事法上、育毛剤など医薬部外品の製造承認を申請する際は有効性、安全性試験のほか、申請の時点まで2年間、製品を室温下に置いて成分の変質の有無を確認する安定性試験が義務づけられている。しかし、同省の調べによると、同社は1985年7月、安定性試験を半年間しかしていなかったのに2年間行ったようにデータを改ざん、偽造した資料を同省に提出し、86年7月に製造承認を得ていた。
また、同社は、82年10月に製造承認を得た催眠鎮静剤の「リストミンS」について、85年からことし7月までの間、有効成分がきちんと含有されているかどうかを確認する試験を十分に行わないまま、出荷していた。
このほか、薬事法施行規則により発売中の医薬部外品について、製造承認申請の際に提出した臨床データなど資料を承認取得後5年間保存しておくよう義務づけられているが、同社は発売中の医薬部外品37品目のうち20品目のデータをこの保存義務期間内に廃棄してしまっていた。
同省の事情聴取に対し、「ライオン」側は、「薬用ペンタデカン」のデータねつ造について、当時、先発の育毛剤が売り上げを伸ばしており、幹部会の総意として開発を急ぐよう担当部に指示したが、データのねつ造は担当部が勝手にしたことで幹部は一切知らなかったと主張した。また、ほかの違反行為については、担当者が薬事法上の規則を十分に理解していなかったため、と述べているという。
「リストミンS」については、違反発覚後に厚生省が製剤の一部を回収して中身を調査、有効成分が適正に含有されていることを確認できたとして、回収命令はとられていない。
●ライオン社長、「社員を再教育」
業務停止命令書の交付後、小林社長は「重大な違反をし、本当に申し訳ない。謹んで処分をお受けする。20日間の業務停止は影響が大変大きいが、再びこのようなことがないよう、今月から組織改正をしたし、業務停止期間中に従業員に対し、薬事法についての再教育を考えている。消費者へのおわびの広告も出したい」と話した。
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